土地と建物について法律的・制度的な視点から体系的に整理します。
1. 土地と建物の法的性質
(1)土地の定義
•民法上の土地は「定着物である地面」を指し、空間的な広がりを持つ不動産。
•土地は**区画ごとに一筆(いっぴつ)**として登記簿に記載される。
•地目(宅地、田、畑、山林など)は登記簿に記載されるが、課税や都市計画上の分類とは異なる場合がある。
(2)建物の定義
•民法上、建物は「土地に定着し、社会通念上独立した不動産として取引の対象になりうるもの」。
•木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など構造にかかわらず、恒久的利用を目的とするものが対象。
•仮設建築物(プレハブ等)は要件によっては建物と認められないこともある。
2. 土地と建物の独立性
•土地と建物は別個の不動産として登記・取引される。
例:土地の所有者と建物の所有者が異なる場合もある(借地権設定など)。
•宅建業務では「土地のみ」「建物のみ」または「土地建物一体」としての取引の3パターンを扱う。
3. 土地の権利関係
(1)所有権
•土地を排他的・永続的に使用・収益・処分できる最も強い物権。
•所有権は登記により第三者に対抗可能(民法177条)。
(2)用益物権
•地上権:他人の土地に建物・工作物を所有するために使用できる権利(登記必要)。
•地役権:自己の土地の便益のために他人の土地を利用できる権利(例:通行地役権)。
(3)借地権
•借地借家法に基づく、建物所有を目的とする土地の賃貸借権。
•普通借地権:存続期間30年以上が原則。
•定期借地権:契約期間や更新不可条件が法律で定められる(50年以上など)。
4. 建物の権利関係
(1)所有権
•建物の構造・階数に関わらず、独立した不動産として登記できる。
•分譲マンションの場合は「専有部分の所有権」と「共用部分の共有持分」が不可分一体で存在。
(2)借家権
•借地借家法に基づき、建物の賃貸借関係を規律。
•居住用・事業用で解約条件や更新期間が異なる。
5. 不動産登記制度
(1)目的
•権利関係や物理的状況を公示して不動産取引の安全を図る。
(2)登記簿の構成
•表題部:所在、地番、地目、地積(建物の場合は所在、家屋番号、種類、構造、床面積)。
•権利部(甲区):所有権に関する事項。
•権利部(乙区):所有権以外の権利(抵当権など)。
(3)登記の効力
•原則として登記は対抗要件であり、登記がなければ第三者に権利を主張できない。
6. 土地利用規制
(1)都市計画法
•市街化区域、市街化調整区域、非線引き区域などに区分。
•用途地域(住居系、商業系、工業系など)により建築物の用途や容積率・建ぺい率が制限される。
(2)建築基準法
•接道義務:建築物は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない。
•容積率・建ぺい率:敷地面積に対する建築面積や延べ面積の制限。
•防火地域・準防火地域:構造制限が課される。
7. 取引上の留意点(宅建試験で重要)
(1)土地取引の実務ポイント
•境界確定:筆界特定制度や測量図で確認。
•公法上の制限:用途地域、建築制限、農地法の許可などを事前調査。
•契約不適合責任:地中障害物や土壌汚染があれば告知義務あり。
(2)建物取引の実務ポイント
•建築確認の有無・検査済証の確認。
•築年数、構造、耐震基準適合の有無。
•区分所有建物では管理規約や修繕積立金の状況を確認。
8. 評価と税金
(1)土地評価
•公示地価、基準地価、固定資産税評価額、相続税路線価など、目的によって評価基準が異なる。
(2)税金
•取得時:不動産取得税、登録免許税。
•保有時:固定資産税、都市計画税。
•譲渡時:譲渡所得税(所有期間により長期・短期で税率が変動)。
(了)
