盛土規制法の概要
盛土規制法(正式名称:宅地造成及び特定盛土等規制法)は、2021年の熱海市伊豆山地区で発生した大規模土石流災害を契機として制定された新しい法律です。従来の宅地造成等規制法を大幅に改正し、盛土や土砂の埋立てに関する規制を全国一律で強化することを目的としています。盛土は土地利用や開発に不可欠な工事ですが、不適切な盛土は大雨や地震によって崩壊し、甚大な人的・物的被害をもたらすリスクがあります。そのため、盛土規制法では「安全性確保」と「責任の明確化」を基本理念としています。
規制の対象
盛土規制法では、規模や用途を問わず、一定の要件に該当する盛土・土砂の堆積行為を規制対象としています。従来は宅地造成を目的とする場合に限られていましたが、本法では農地や森林、工業地など宅地以外の土地で行う盛土についても原則として規制が及びます。これにより、全国的に一貫した安全管理が可能となりました。
主な規制内容
- 許可制の導入: 一定規模以上の盛土を行う場合、都道府県知事等の許可が必要。
- 基準遵守義務: 排水施設や擁壁の設置など、安全性を担保する技術基準を満たす必要。
- 施工・管理責任: 盛土工事を行う事業者は、施工中および完成後も安全性を確保する義務。
- 罰則の強化: 無許可盛土や基準違反については、懲役や罰金などの厳しい罰則が適用。
管理体制とモニタリング
盛土規制法では、工事中だけでなく、完成後の維持管理も義務付けられています。地方自治体は定期的に現場を監視し、違反があれば是正命令や工事中止命令を発出できます。また、国土交通省が全国の盛土箇所を把握するデータベースを整備し、監視体制を強化しています。
責任の所在
盛土規制法の特徴の一つは「責任主体の明確化」です。工事を発注した事業者だけでなく、設計者・施工者・管理者もそれぞれの立場で法令遵守責任を負います。不適切な盛土により事故が発生した場合、刑事責任や民事責任を問われることがあります。
盛土規制法の意義
この法律の施行により、全国で「安全性を最優先する盛土工事」が求められるようになりました。地域住民の安心につながるだけでなく、建設業界全体にとっても信頼性の向上につながると考えられています。特に気候変動による集中豪雨の増加が懸念される中、盛土規制法は災害リスクを低減するための重要な法制度です。
図解:盛土規制法の仕組み
下図は、盛土規制法の規制対象や管理フローを模式的に示したものです。

