相続税の詳しい解説
相続税は、被相続人(亡くなった方)の財産を相続や遺贈によって取得した際に課される国税です。日本の相続税制度は「富の再分配」「格差の是正」「国の財政基盤の確保」を目的としており、一定額以上の財産を取得した場合に課税されます。本記事では、相続税の基本から計算方法、控除制度、税率構造、節税対策まで詳しく解説します。
1. 相続税の課税対象
相続税の対象となるのは、被相続人から相続や遺贈によって取得した財産です。財産には次のようなものがあります。
- 土地・建物などの不動産
- 現金・預貯金・有価証券
- 事業用資産(株式・営業権など)
- 生命保険金・退職金(一定の非課税枠あり)
- その他(貴金属・美術品など)
ただし、墓地・仏壇・祭具などの「祭祀財産」は課税対象外です。
2. 相続税の基礎控除
相続税には基礎控除が設けられており、一定額までは相続税が課税されません。基礎控除の計算式は以下のとおりです。
| 基礎控除額 |
|---|
| 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数) |
例えば、相続人が配偶者と子ども2人(計3人)の場合、基礎控除額は 3,000万円+600万円×3=4,800万円 となります。この額を超える遺産についてのみ、相続税が課税されます。
3. 相続税の計算方法
相続税は、以下のステップで計算されます。
- 被相続人の財産総額を算出する
- 債務や葬式費用を差し引く
- 基礎控除を差し引く
- 課税遺産総額を法定相続分で按分する
- 各人の相続分に応じた相続税額を算出する
- 加算(2割加算など)・控除(配偶者控除など)を適用する
相続税の計算フローチャート
以下のような流れで計算されます。
財産総額 ↓ 債務・葬式費用を控除 ↓ 課税遺産総額を算出 ↓ 基礎控除を差し引く ↓ 法定相続分で按分 ↓ 各人の相続税額を計算 ↓ 控除・加算を適用 ↓ 最終的な納付税額
4. 相続税の税率構造
相続税は累進課税であり、取得金額が大きくなるほど高い税率が適用されます。
| 課税価格の取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
5. 相続税の主な控除
相続税には、次のような控除制度があります。
- 配偶者の税額軽減: 配偶者が取得する財産については、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い額まで非課税
- 未成年者控除: 20歳未満の相続人は、20歳までの年数×10万円を控除
- 障害者控除: 障害者は、85歳までの年数×10万円(特別障害者は20万円)を控除
- 相次相続控除: 短期間に相続が続いた場合の負担軽減
6. 申告と納税の手続き
相続税の申告は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。申告書は被相続人の住所地を管轄する税務署に提出します。納税も同じ期限内に行う必要があり、現金一括納付が原則ですが、延納や物納も認められています。
7. 相続税の節税対策
相続税は適切な生前対策により軽減できます。代表的な方法としては以下のようなものがあります。
- 生前贈与(暦年贈与・相続時精算課税制度の活用)
- 生命保険の非課税枠利用(500万円×法定相続人の数)
- 小規模宅地等の特例(最大80%の評価減)
- 不動産活用(貸家建付地評価減など)
8. まとめ
相続税は、被相続人から財産を受け継ぐ際に一定額を超える部分に課税される税金です。基礎控除や各種控除制度を踏まえたうえで、正しい知識を持つことが重要です。また、生前からの計画的な対策によって納税額を大きく減らすことが可能です。相続が発生した際には専門家に相談し、適切な申告と納税を行うようにしましょう。
